新年のご挨拶 2016

 明けましておめでとうございます。2016年もよろしくお願いします。


 今年の目標はブログの継続的な更新です。いやほんとお前何年同じこと言ってんだって話なんですが、目的意識に少々の変化があろうともやるべきことは変わってない&できてないので、目標はそのままに方法論を考える方向で。
 とにかく「ちゃんとした記事を書こう」という気持ちを捨てる。数をこなす。いつか何かを本格的に取り上げようと思ったとしても、現状だと諸々の基礎体力が足りてなさすぎる。とりあえずブログにアップする段階まで持っていって、足りないようなら改めて書けばいい。一旦形にしないと駄目な部分も見えてこない。


 というわけで、今後1週間の動向にご注目いただければと思っています。

ハルヒ系女子を手玉に取ろう! ペルライ『でっかいことをする部』


ドラゴンエイジ 2016年1月号


 ペルライ『でっかいことをする部』が月刊ドラゴンエイジ2016年1月号(12月9日発売)に掲載された。8ページの読切でアオリ文は「混沌(カオス)の極み系ギャグ!!」。


 よく判らない部活でわがままな女の子に振り回される系の設定と見せかけて、主人公の方が上手でヒロインを翻弄する。そもそも「見た目通り平凡な高校生だ」とナレーションが入っているのに、2015年にそのバビル2世スタイルは主張が強すぎる。

(月刊ドラゴンエイジ2016年1月号 p.713)


 今日の活動が「宇宙人を捕まえる」に決まり、あっさり主人公が見つけて連れてくる。一応捕獲の体裁を取るためなのか「し 失礼します」とさすまたを向けるヒロイン。宇宙人の肩に手を回したまま「気をつけろよ」と言う主人公。しかしヒロインは本気で怖いようで、自らを奮い立たせるために心の中で歌う曲がウルフルズの『ガッツだぜ!!』に中島みゆきの『ファイト!』がマッシュアップされていて笑った。やはり「あたし中卒やからね」はキラーフレーズ……。


 作者の商業デビュー(たぶん)を喜ぶと同時に、再登場を大いに期待している。
 ペルライは同人活動が主体で、アイマスの二次創作などはギャグ寄りだが、一方でコミティアではアメコミのような陰影の効いた絵でシリアスな作品を描いている。氏の動向を追うようになったのは比較的最近なので、どういった形であってもとにかく新作をどんどん読みたいというのが正直な気持ちだ。

『犬神姫にくちづけ』宮田紘次の訃報

 マンガ家、宮田紘次が亡くなったことが10月27日に報じられた。

https://twitter.com/hartamanga/status/659651057283264512:twitter


 いまやヒット作『ダンジョン飯』が連載されているのはハルタというマンガ誌で、リニューアル前は「Fellows!」という名前だった。宮田紘次はその立ち上げ段階から継続的に原稿を執筆していた。コミックビーム編集部が見出した新人として読切を多数発表し、連載を持ってからも『乙嫁語り』『坂本ですが?』といった看板とは別に中堅として誌面を支えていた。
 活き活きとした表情(特に赤面)や、肉感的な描線(中でも尻)が魅力的な作家で、もう新しい作品を目にすることはないという急な報せがただただショックだった。お悔み申し上げます。


 アニメ化も決まった『おしえて! ギャル子ちゃん』の作者、鈴木健也は以前ビームとFellows!で仕事をしていた。今回の訃報を受け、当時の宮田紘次との交流がサイトの日記に書かれている。

 お互いの連絡先は知らないまま、編集部主催の飲み会で顔を合わせる際にだけ熱っぽくマンガ論を語りあう距離感は素敵なエピソードだと感じた。業界で「短編集は売れない」と言われがちだが、『ききみみ図鑑』が好調だったおかげで他の企画が通りやすくなったという件は初めて知った。


 先日ジュンク堂池袋店に足を運んだ時、エスカレーターで地下1階のコミックフロアへ下ってすぐ左のコーナーに宮田紘次の単行本が全て並べられていて、担当者の方に内心深く感謝していた。


 創作者の死はつらい。作品と感動は残っていることを救いにしたい。



犬神姫にくちづけ 1巻 (HARTA COMIX)

個別ツイートの前後を表示できるChrome拡張「twDisplayVicinity」

 Twitterには膨大な情報、140字以内の文字列が蓄積されている。しかし気軽に使える特性ゆえに、ツイート単体から意味を読み取るのが難しいケースがある。
 たとえば「これ2期ありそうだな」というツイート。察しの良い方なら補完できるかもしれない。アニメを視聴しながらの投稿(いわゆる"実況")で、終盤の展開についての感想だろう、と。ただ何の作品についての話なのか、あとから特定するのには手間がかかる。

 「twDisplayVicinity」というGoogle Chrome拡張機能をインストールすれば、個別ツイートをワンクリックで前後に投稿された分も並んで表示される。「文脈の把握」が格段に容易になる。



 具体的にどう便利なのか見てみよう。
 例として、マンガ家の道満晴明を参照させていただく。まずは氏の過去のツイートの中からデスノートに関するものを探す。【TIPS】特定のユーザにしぼって検索する場合は「from:(ユーザID) (検索ワード)」だ。検索窓に「from:dowmansayman デスノート」と打ち込んだ結果は以下の通り。


 画像の各文章は単体でも成立している。しかし6月17日の方、このつぶやきだけがぽつりと発されたのだろうか。今回のChrome拡張のインストールによって、日付のとなりに「近傍」というリンクが見えている*1。クリックしてみよう。

 連続した発言の一部分だったことが判る(時系列は下の方が古い)。正直このお手軽さは衝撃的だ。


 しかしながら、全貌が明らかになったわけではない。実のところ「さらなる外側の文脈」が存在している。
 2015年6月17日には、アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、通称「あの花」がスペシャルドラマとして実写化されるとの発表があった。それを受けてか、この日は実写化に関するツイートが頻繁に目に入ってきた。おそらく上に貼った発言も、Twitterのタイムラインから得た情報に影響を受けていた可能性が高い。
 過去の無数のツイートを真にアーカイブとして活用するための「文脈の把握」はまだまだ難しい。個人的にはfavologというサービスを利用しているが完全ではない。


 本題に戻ろう。個別ツイートの前後を表示できる機能ということは、何の発言を拾ってくるかが肝心になる。あらゆる検索テクニックに言えることだが、掘れる情報の深さは対象への理解度に左右される。
 たとえば道満晴明は、アニメを実況する際に「○○また」*2とまずツイートする。『響け!ユーフォニアム』の場合は「ユーフォまた」だ。つまりこの検索ワードで毎週の実況開始地点をピックアップして、近傍ツイート検索と組み合わせることで、すべての実況ログを発掘することも可能となる。



 あれこれ書いてはみたが、実際の利用方法としては、公式リツイートで回ってきた発言に対して「どういう流れで言ったことなのか?」「(リツイートした人間が)妙な部分だけ切り取ってはいないか?」というチェックが簡単に行えて便利、という面が大きいだろう。開発者の方に感謝したい。

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 おまけ。人によっては最も重要な機能。
 まず誰かの発言を公式リツイートして、続けてそれに対するコメントを自分がツイートする、という使い方は一般的に広まっている。「twDisplayVicinity」を使えば、Twitterの通知欄「○○さんがあなたのツイートをリツイートしました」部分から、相手のリツイート前後の投稿を表示できる。「リツイートされたみたいだけど、何か言われてないかな?」という確認があとからでも簡単に。
 ただこの用途に関しては、下のサービスの方がずっと便利だろう。

*1:語句は設定で変更可

*2:「○○がはじまった」の略か

位置原光Z、週刊スピリッツで短期集中連載&やわスピで不定期掲載

 トリッキーな下ネタショートショート作家、位置原光Zの新作お披露目の機会がめぐってきた。
 週刊ビッグコミックスピリッツNO.33(7月13日発売号)より『特別サービス』が短期集中連載(全5回予定)、やわらかスピリッツ(Web)では出張版『特別サービス MORE SPECIAL!!』が不定期で掲載される。


 集中連載とはいっても「日常のなかのちょっと過激な女の子オムニバス」*1なので、気負わず読める。


 本誌第1回は「出張サキュバス」(日常?)。「もしも召還術がデリヘルだったら」的なシチュエーション。設定こそファンタジーだが、ちょっとアレな女の子が来てしまった状況における「私はホラ、オッパイ見てください!/オッパイありますよ!」「いやその…オッパイがあったところで…!!」みたいなやりとりの生々しさがいい味を出している。
 ファンにとってはいつものノリ。しかし同人誌即売会コミティア出身で、不定期刊行のアオハルや季刊の楽園といったマイナー誌で活躍してきた作家が、コンビニに毎週並ぶタイプのメディアに乗り込んできたのは大きな変化だ。
 導入部分の2コマに、タイトル・コピー・アオリ文がギュギュッと詰めこまれた様子から、パラ見で読み飛ばされたら終わりな戦場だと伝わってくる。

(週刊ビッグコミックスピリッツ 2015年NO.33(通巻NO.1781) p.163)

 Web第1回のサブタイトル、本文中では「バイブ」、サイト内では「きちく」になってるがどちらが正しいのかな。
 縄で縛られガムテで口をふさがれた女性の前で、不敵な表情を見せる男。部屋には無数の大人のおもちゃが……。
 上の画像と比較すると、編集部による手の加え方の差がよく判る。


 気に入った方には以下もオススメ。



お尻触りたがる人なんなの

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 スピリッツの同じ号に第76回新人コミック大賞で大賞の読切、むつき潤『ハッピーニューイヤー』が掲載されている。
 みすぼらしい中年男性が足を向ける年賀状仕分けのアルバイト初日、現場を仕切っているのは熱烈なバンドファンの女子高生(ピアス・マスク・大音量イヤホン)だった。
 小学館の青年誌の新人らしい絵。写実には寄せない描線、にもかかわらずメイクの差を入れこんでくる所が目を引く。
 郵便法について「これらの行為は犯罪です」と警告する貼り紙に「郵便物を盗む」レベルのことがずらりと書かれていて、採用される人間の下限が想像される。こういったディテールは細かい。中年の素性は判らない中で、軽い職業マンガ的な情報と女子高生のキャラクターでまず引っ張り、中盤の緩急と終盤のドラマにつないでいく。
 目から吹き出す涙の表現が好きだなと思っていたら、作者のデビュー記念インタビューでキャラの泣き方について触れられていた。ですよね。

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 スピリッツといえば、中崎タツヤ『じみへん』の連載終了が告知されたのには驚いた。1989年から続く最後尾の顔。還暦を迎えるにあたっての決意ということらしい。残すところあと4回。
 オードリーのオールナイトニッポンで、『じみへん』が大好きだと語る若林がしゃべりながら自分でどんどんヒートアップしていく様子が面白かった。何度も読み返したという話を放送中に何度もしていたし、いちばん影響を受けたのは『じみへん』かもしれないという「告白」は衝撃的な意外さがあった。

*1:巻末目次のコピー

任天堂社長、岩田聡の訃報

 任天堂社長、岩田聡の逝去が7月13日に報じられた。

 氏はプログラマとしてHAL研究所に入社。『バルーンファイト』等の開発にかかわる。1992年にハル研代表取締役となり経営建て直しに成功。任天堂の社長に就任したのは2002年。2004年にはニンテンドーDS(二画面+タッチパネル)、2006年にはWii(振って操作するリモコン)を発売し、ゲーム人口拡大のために新しいデバイスによる新しい遊びを打ち出してきた。
 ゲームの開発スタッフにインタビューするコーナー「社長が訊く」(2006年から)、ユーザに情報を"直接お届け"する「Nintendo Direct」(2011年から)など、プロモーションで前面に出てくる機会が多かった。

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 『MOTHER2 ギーグの逆襲』の攻略本には巻末にスタッフのプロフィールがずらりと並んでいるものがあって(もちろん「かっこいいとおもうもの」等への回答を含む)、岩田社長を初めて見た時に「糸井重里のすぐ下の方に載ってた人かな?」と思い出した。 *1


 糸井重里が代表を務める「ほぼ日刊イトイ新聞」では、岩田社長が登場した代表的な記事がまとめられている。


 岩田聡プログラマとしても非凡だというエピソードで有名なのは、やはりMOTHER2だろう。

 開発が頓挫しかかっていたところに途中から呼ばれ現場で丸4年分の素材をチェック、完成する流れにはなっていない中で言い放った言葉が「いまあるものを活かしながら手直ししていく方法だと2年かかります。イチからつくり直していいのであれば、半年でやります」。そして実際に半年で通しで遊べるところまで持って行き、あと半年で細かい部分を調整した。(あくまで自分が解決したのはプログラム上の問題であって)4年間の試行錯誤はゲームの中に活きているとフォローを入れつつ、糸井重里の遊びのアイデアに話がつながっていく。
 余談。上記の対談のベテラン進行役、永田氏は元ファミ通編集者「風のように永田」で、私は氏の文章(攻略記事ではなくコラム)のファンだった。著書『ゲームの話をしよう』をオススメしたいところだが、まだ電子書籍化はされていないか……。

 もうひとつ。ポケモン金銀の開発が難航していて人員に余裕がない時期に、金銀の海外版や対戦用ソフト『ポケモンスタジアム』の企画も進めなければならない。そこで(他人が作った)ゲームボーイの戦闘プログラムを読み取って、移植しても動くよう作り直す仕事を担当したのが、当時HAL研究所の岩田社長だったという話。

 ハートゴールドソウルシルバーはリメイク版。オリジナルの金銀の開発には3年半かかったという。当時コロコロでデンリュウハガネールといった新ポケモンの情報が出てから発売までが、とても長く感じられた。たぶん延期の告知もあったはずだし、子供にとってはなおさらだ。まあ生意気なもので「アニメやカードゲームも含めポケモンがブームなのに、今この熱がある間に続編を出さないメーカーは何をやってるんだ」みたいなことを言っていた自分が恥ずかしい。「素人が思いつくことをプロが考えてないとでも?」案件だ。


 こちらはドワンゴ川上量生との対談記事。

 岩田聡は優れたプログラマでもあった……のではなく、元々コンピュータを扱うのが仕事だったのに、人間を扱うマネージメントという役職に「転身」しなければならなかった。どうしてうまくいったのか、というのが記事3ページ目「自分の生き甲斐と趣味は『問題解決』」辺りから語られている。
 とはいえ記事全体が個人のゲーム観やハードウェア、体験の価値についてのトークなど多岐に渡り面白いので、やや長いかもしれないが頭から通して読むのを推奨したい。


 個人的にはカービィスマブラのディレクター、桜井政博ゲームデザイン論に強く関心がある。なので氏の上司だったという側面が、岩田聡に対するイメージの大部分を占めている。

岩田 (略)
   あえて「桜井くん」と言いますが・・・・
   彼がゲームの仕事をはじめたとき、
   つまりHAL研究所という会社に入ったときの
   最初の上司が私なんです。



 故人が新しい何かを生み出すことはない。しかし、これまでのゲームの歴史を振り返る中で、これからの娯楽の礎について考える中で、岩田聡の名前が忘れられることはないだろう。心より、お悔やみ申し上げます。

*1:東京ゴッドファーザーズ』のエンドクレジットに鈴木慶一の名前を見つけたときもMOTHER2の作曲者のひとりだと覚えていた

*2:そういえばこの記事もほぼ日の永田氏が構成だった

サガシリーズが魅せたバトルのエッセンスが新たな姿に結実!? 3DS『レジェンド オブ レガシー』発売直後のインプレッション


レジェンド オブ レガシー - 3DS

バトルが醍醐味のRPG

 超・期待作『レジェンド オブ レガシー』がついに発売された。まずざっくりと特徴を。

  • コマンド式のニュークラシックRPG
  • 探索・育成・バトルを軸に自力で発見する達成感を重視
  • 90年代のスクウェアRPGが好きなユーザに強くアピール


 どういう面白さを目指して企画されたゲームなのかは、本作のディレクター松浦正尭がインタビューで詳細に語っている。末尾のコメントが燃える。

本作の魅力を一言で伝えるならば、「雑魚戦が一番おもしろいRPGです」としか言いようがありません。アヴァロンのモンスターは、とても強いですが、全滅する度にプレイヤー自身がどんどん強くなっていきます。散々負け続けたモンスターに、試行錯誤の果てに初めて勝った瞬間の何物にも代えがたいRPGながらの達成感を、ぜひ体感してください!


 ただまあ人によっては、以下のツイートで画像を見てもらった方が早い。

 「サガじゃん!」そうなんです。明らかに『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』っぽい。7人の主人公からひとりを選ぶし、戦闘中に新たな技を修得もする。さらにイメージイラストには小林智美、音楽には浜渦正志を起用。
 しかしながら「ガワをサガに似せただけのまがい物」ではないはずだと、新しい何かがあると信じられる確かなポイントがある。このプロジェクトの中核には小泉今日治がいるからだ。

ゲームデザイナー:小泉今日治

 スーファミ時代のRPGが好きな人なら「閃き」と聞いてピンと来るかもしれない。バトルの最中にピコーン!と電球が光り、新たな技をくり出すアレだ。決められたレベルで呪文を覚えるのとは違って、キャラクターがいつパワーアップできるかはランダム。しかしそれゆえに、強敵に苦戦していたら強力な技を放って逆転、みたいなプレイヤーにとってのドラマが生まれたりもする。
 小泉今日治は『ロマンシング サ・ガ2』でバトルデザインを担当。氏の考案した「閃き」システムは、サガシリーズの生みの親である河津秋敏に高く評価された。その後も『サガ フロンティア』の「連携」、『アンリミテッド:サガ』の「リール」など、手に汗にぎる戦闘を演出するための仕組みを作り上げている。
 ちょっと正確な文言を引用できないのだけれど、「開発した自分が遊んでも面白いバトルを」「ボス戦はプレイヤーがまあまあ準備して7割勝てるくらいのバランスがいい」という氏の思想には強く共感する。ランダム性に翻弄されながらも仕様を把握することで勝利に近づく感覚はたまらない(たとえばローグライク)。
 余談。ボスは勝てるように作らないといけないが避けてもいいザコ敵の強さは容赦なし、というのが河津秋敏の見解。 【原文】
 

 ただそれも昔の話。氏は随分と前にスクウェア・エニックスを離れ、現在はグレッゾに所属している。でも、たとえRPG的な形でなくても、いつか小泉今日治の新作にお目にかかれる日が来るのでは……という淡い期待で、しばらく前から一応動向は追っていた。
 そして2014年9月。3DSレジェンド オブ レガシー』が発表された。クレジットに刻まれた「ゲームデザイン小泉今日治」。夢かと思った。しかもバトルを主軸に組み立てられたゲームだという。企画達成に向けて尽力したディレクター松浦正尭には非常に感謝している。

肝心なのは遊んでいて面白いのかどうか

 2時間ほどプレイしてみた。ちなみに選んだキャラクターはオーウェン、ガーネット、エロイーズ。


 戦闘システムの要点はふたつ。
 まずフォーメーション。本作は3人パーティで、アタック・ガード・サポートの役割の組合せをターンごとに切り替えながら戦う(例:体制を整える場合はガード・サポート・サポート)。MMO的なソロプレイ用ゲームでは明確な盾役(タンク)が存在したりもするが、キャラごとの「仕事」を固定するのではなく状況に応じて流動的にしたいのだと思う。サポートに配置すると行動速度と回復効果がアップするなどポジションに応じたボーナスが得られるが、どうやらここに何かありそうだ。
 そして双次元バトル。味方と敵のほかに、フィールドには精霊の力が作用しているのでそれを活用しましょう、と。炎の術を使うと場を占める炎属性の影響力が増す(相対的に水・風・邪が減る)。「基本的には」術を唱える前にまず精霊と契約する行動が必要だが、モンスターと接触して戦闘に入る前に工夫の余地があったりする。


 まだ序盤も序盤なので、システムの理解の過程も含めて……というかそこをメインに楽しんでいきたい。手強い敵と全力でやり合うためのお膳立てはさすが(クイックセーブで即座に再戦可能、バトル終了でHP全快)。とりあえずさっき強敵に1人死亡2人瀕死に追い込まれてどうにか立て直しの可能性が見えかけるも全滅、フィードバックを元に立ち回ったら危なげなく勝利できて「これよこれ!」と笑顔になってる。