『犬神姫にくちづけ』宮田紘次の訃報

 マンガ家、宮田紘次が亡くなったことが10月27日に報じられた。

https://twitter.com/hartamanga/status/659651057283264512:twitter


 いまやヒット作『ダンジョン飯』が連載されているのはハルタというマンガ誌で、リニューアル前は「Fellows!」という名前だった。宮田紘次はその立ち上げ段階から継続的に原稿を執筆していた。コミックビーム編集部が見出した新人として読切を多数発表し、連載を持ってからも『乙嫁語り』『坂本ですが?』といった看板とは別に中堅として誌面を支えていた。
 活き活きとした表情(特に赤面)や、肉感的な描線(中でも尻)が魅力的な作家で、もう新しい作品を目にすることはないという急な報せがただただショックだった。お悔み申し上げます。


 アニメ化も決まった『おしえて! ギャル子ちゃん』の作者、鈴木健也は以前ビームとFellows!で仕事をしていた。今回の訃報を受け、当時の宮田紘次との交流がサイトの日記に書かれている。

 お互いの連絡先は知らないまま、編集部主催の飲み会で顔を合わせる際にだけ熱っぽくマンガ論を語りあう距離感は素敵なエピソードだと感じた。業界で「短編集は売れない」と言われがちだが、『ききみみ図鑑』が好調だったおかげで他の企画が通りやすくなったという件は初めて知った。


 先日ジュンク堂池袋店に足を運んだ時、エスカレーターで地下1階のコミックフロアへ下ってすぐ左のコーナーに宮田紘次の単行本が全て並べられていて、担当者の方に内心深く感謝していた。


 創作者の死はつらい。作品と感動は残っていることを救いにしたい。



犬神姫にくちづけ 1巻 (HARTA COMIX)