「楽園 Les paradis」コミックナタリーに異色対談ほか特集記事

 上記4名の座談会、12作家からの描き下ろしイラスト、表紙イラストを担当するシギサワカヤによる各号解説を掲載。
 沙村・木尾両氏が対談の様子を描いているが、どちらも中村明日美子のマダム感が印象的。
 そのスジでは有名な、楽園コミックスの装丁の凝りようにも触れられている。


 第1号が出たのが2009年10月。当初から中村明日美子宇仁田ゆみ黒咲練導など好きな作家が揃っていたので迷わず購読を始めたところ、鶴田謙二沙村広明kashmirと次々に強力な増援を引き連れてくる手腕には驚いた。売野機子を筆頭とする発掘力も含めて、信頼を置いている。
 中でも、平方イコルスンを商業デビューさせたことは非常に意義深い。


 楽園は編集長である飯田孝が全ての作家を担当していて、その人となりは座談会での語られぶりからうかがえる。

沙村 飯田さんは作家それぞれが自分のベストを出してればいい、っていうスタンスみたいで。この雑誌をどういう雑誌にしたいかとかは全然相談されなかったですね。
中村 「僕が読みたい人ばっかり集めたんです!」とは言ってたね。それで蓋を開けてみたら「すっごいセーラー服ばっか被ってるけどいいんですか?」って状態に(笑)。

木尾 楽園は台割とかも全部飯田さんが決めてるから、いわば打線を揃えてる監督ですもんね。いま思ったんですけど、楽園だと、掲載順がどこになっていようが別に気にならないんです。アフタヌーンだと「こんな後ろか、大丈夫かなあ」とか気にするんですけど。
沙村 楽園はアンケートとらないって最初に聞いてるしね。基本的には放任主義で描かせてもらえてる感じがします。

 大手の編集部では担当者の異動は珍しい話でもない一方で、誌面を織り成す意図が一貫しているのは歓迎したい。

中村 細く長く生きられる雑誌になるといいですよね。ここから初めて単行本を出したって人も多いし、若い人がどんどん単行本を出せてるというだけですごくいい雑誌だと思う。

 全く同感。是非とも位置原光Zの単行本をお願いします


 最後に、楽園創刊号の奥付に書かれたメッセージを。

お買い上げ戴きましてありがとうございます。
有史以来、数多の本が書かれ出されて参りましたが
一度世に出た全ての本は、読み手を探す
時には長い旅を経て、終に読まれることで完結します。

年3回の刊行というスローペースな本ですが、
描き手の方々、読み手の方々そして出版と流通に携わる
幾重にも続く方々との、一冊ごとの
一期一会を大切に。
どうか末永く緩やかなお付き合いを賜れますよう。

「楽園」編集人 飯田 孝

(注:原文は中央揃え)