『good!アフタヌーン』#03(2009年3月7日発売)雑感

※以下、作品の内容に言及しています。ネタバレ注意。



 ユズコとリンジィはあまり体格が違うようには見えないけどウエイトは別なのか。総合格闘技と一口に言っても、修斗などの分類によってレギュレーションが異なるとして、『鉄風』では何を採用しているんだろう。ダウンからマウントに移行する一連のやり取りに経験の差が表れていて、魅せるシーンになっている。打撃や寝技といった領域が明確に分かれているため、得意な分野にどう持ち込むか、持ち込ませないかの攻防を判りやすく描けるのが総合マンガの肝かもしれない。

  • ざら『ウチはおおきい』1号室

 アパートが舞台なだけあってか、背景が丁寧。メインキャラの位置付け「新卒で失業者・留年のニート・登校拒否児」という三様全てに心当たりがある自分はどうかと思った。

  • 板羽皆『3センチメンタル』第3話

 子供の遊びで地面に陣地を書く際に、如雨露を使って水で線を引く光景が新鮮。ご老人の「死ねとか/言うたらアカンよ」という言葉は効く。

 クイファがサヤビトだというミスリードは良い。特殊な設定を盛り込んでいる作品を読んでいると、自然な流れで説明していくのが大変だろうなと要らぬ心配をしてしまう。「これ以上喋るな」のサインは気付かなかった。そこは単に自分の注意力が散漫ということで片付くんだけど、p217の4コマ目「トイレかしら」につながる同1コマ目の描き文字「そわそわ」は普通なら見落としてしまうと思う。

 カフェこばとの鳩子さんと、気さくに話す晶さんの新たな一面が見られて良かった。

  • Ryp『すずり執行中!』#02

 「想い出のイメージ映像に勝手に入ってくる」様が好き。

 非凡な才能を持ちながら営業力のない画家と、その才能を目の当たりにして画家への道を諦めた彼女。2人が落ち着くべきはどういった関係なのか。実在の画家のエピソードを提示しながら、彼女が取った道とは。見事な1話。

  • 風呂前有『鼻血が止まらない』第2話

 冒頭の柱、「はなぢ」を紛れこませるのは1回だけにしておくべきでは。

 「架空の競技に対してどうこう言う」タイプの話はお気に入り。篠原健太SKET DANCE』のヒュペリオンとか。

 硬質な線、エッジの利いた画風なのに、冷たさを感じさせないのが不思議。主人公の性的嗜好が特殊なのに、心暖まってしまうのが不思議。良い新人が出てきた。一見してアフタヌーンらしさを感じさせないということも含めて。
 ラスト、「外しちゃうのかよッ!!」と本気で突っ込んでしまった。今号で最も感情を揺さぶられた作品かもしれない。

  • 原作:平井清、漫画:篠崎司『このねこばなし』第3話

 母娘の喧嘩の原因、熊か猫か判らないぬいぐるみの耳をもぎ、あざらしということにして解決する父さんの「名案」に痺れた。ベタ中のベタ、「たぬき」の暗号文にバリエーションを用意したり、なかなか良いセンスの持ち主だなぁ(他人事)。関係ないけど、脳の回路の構造上、「鯖」と大きく書かれているのを見るとフリクリを連想してしまう。

 居酒屋ならではのルールも紹介しつつ、従業員教育についての普遍的でためになる話。あれ、『巨娘』ってこんなだっけ…。『からん』があるから一旦お休みは仕方ない。気が向いたらまた描いて下さい。

  • 沙村広明ハルシオン・ランチ』#2
    • 失敬な ダッチワイフがすて奥読みますか?
    • 八戸市藤川ゆり市議
    • 兵藤会長の笑顔
    • てか困るなー40過ぎが「能力」と書いて「ちから」とか…
    • 初号機のマネをしながら八戸の駅名を唱えるだけのわけのわからない存在

 相変わらず密度が濃い。自分の中で沙村広明は完全にギャグマンガ家。