『Fellows!』Vol.1(2008 OCTOBER)雑感
Fellows! 2008-OCTOBER volume 1 (BEAM COMIX)
- 作者: 森薫,入江亜季,雁須磨子
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/10/14
- メディア: コミック
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※以下、作品の内容に言及しています。ネタバレ注意。
森薫にアクションの印象はまるでないため、狩りの描写は新鮮だった。アミルが服のことを指摘されて頬を赤らめる場面で好感度急上昇。
- 佐々木一浩『電人ボルタ』第1話
奇怪な右腕を始めとした主人公の設定や境遇が説明されていないため、そういう意味で続きは気になった。大声を表す吹き出しの尖った部分がやたら細かい様を見て楳図かずおを連想した。
- 鈴木健也『蝋燭姫』第1話
鈴木健也はビーム本誌などで何度か読んだことがあり、作品の「間」を覚えていてしっくり来た(フルゥがヤージェンカに刃を向けるシーンが特に)。ただ今回の新連載はインパクトが弱い気がする。ビーム12月号の読み切り『少女というより痴女だった』は結構好きで、そのイメージを引きずっているせいかも。
- 宮田紘次『ラストダンスは踊り場で』
えんため大賞出身者の中で最も注目している作家。人物が活き活きとしていて良い。絵や話に尖った所はないものの、クラスに馴染んでいない生徒と真面目な生徒の交流や、懐かしさを感じさせる文化祭の雰囲気などを盛り込んできれいにまとまっている。
- 佐野絵里子『為朝二十八騎』第1話
水墨画を思わせる背景、絵巻物のような構図などのインパクトが強かった。
- 八十八良『早春賦』第1話
PCで処理しているのか、背景や小道具がシャープすぎる線やトーンの質感のせいで人物から浮いている印象を受ける(特に引いたコマでの空き缶)。裏表紙で見た人物の絵が良さ気だったので余計に目に付いてしまった。
- 雁須磨子『まちがいはありません』
さり気なく雁須磨子が載っていて驚いた。「エロティック読切30ページ!」というアオリ文は少々疑問。世の男性にとって、妻の姉は性的対象としてアリなんだろうか。
- まさひこ『グルタ島日記』第1話
絵の雰囲気や設定の細かさは好み。依頼人の顔のしわが確認できるコマが序盤の1ヶ所だけで印象が薄かったため、後半の「数十年間の記憶」という台詞を読んで「あれ、そんな年齢だっけ」と思ってしまった。
- 福島久美子『水晶石の森』第1話
卵から奇怪な何かが生まれることに生理的な嫌悪感がある。卵そのものが異質なら大丈夫だけど、鶏卵だと駄目。なので荒木飛呂彦の『デッドマンズQ』を読むのに覚悟が要る。
- 百名哲『敬遠球をフルスイング』
えんため大賞出身の要注目作家ナンバー2。ゆるさとシリアスのメリハリがはっきりしているマンガは、その対比やバランスが難しいと思う。デビュー当時と違って人物の目を細かく描くようになったため、要所での緊張感が増していると感じた。あと、いくら料理が下手だからっておにぎりがまずいのは無理があるのでは。Vol.3から始まる連載が楽しみ。
- 丸山薫『ストレニュアス・ライフ』第1話
何がどう気に入ったかうまく説明できない。強いて言うなら作中での「語り」が視認できる状態として表れている様…かな。まあ自分がショートショート大好きな点を差し引いても、印象に残った作品であることは確か。
全体的に、続きが気になる作品が少ないと感じた。あからさまな「引き」を入れろということではなく、雑誌形態を取る以上はストーリー面で「続きが読みたい!」と思わせる連載が何本か必要なのではないかと。とか言いつつ個人的には作家の自主性尊重主義なので、あまり人気などをどうこう考えず作者が面白いと感じる作品を自由に描いてほしいという思いもある。
12月15日に発売されたVol.2から連載を始める作家陣は以下の4人(次号予告順。括弧内は代表作)。
あと細かい点として、『Fellows!』の頭文字は大文字と小文字のどちらが正式な表記なのか気になってる。フェローズに限らず、奥付ではロゴを使わずに活字で表記してもらいたい。