場違い

 合唱サークルで活躍している友人Kに誘われ、昨日そのクリスマスコンサートを聴きに行った。
 宿舎の友人2人と一緒に会場の講堂に向かう。時刻は開演ギリギリの16時半なのだが、予想以上に客が少ない。入り口で貰ったプログラムによると曲数は8曲で、無難な感じの曲目が並んでいる。
 いよいよ開演…なのだが人が増えた様子は無し。軽く居心地の悪さを感じる中、サークルの面々が壇上に登場。…え〜、メンバー総数、指揮者込みで10人。合唱にしては少ないとかそういう前に、男は友人のKのみ。内心「こりゃハーレムだな」とか思いつつ、一曲目の「感傷的な唄」を聴く。………(プログラムを確認)…Kの担当はメゾソプラノ。すなわち男声パート皆無。いや、まあ普段の声は高いヤツだから、薄々感づいてなかったと言えば嘘になるけど…。それにしても初回から驚かされた。2曲目はメジャーもメジャー、「Hail Holy Queen」。伴奏がテープ別音源で軽くガッカリしたが、まあ原曲の良さでカバーされてたとは思う。
 一応ここで第一部終了ということらしい。次の第2部はアンサンブルだそうだ。一曲目のタイトルは「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」。不可解なまでに長い。和訳した方が良いんじゃないのか。それとも進行役への嫌がらせなのか。そんな邪推とは裏腹に曲紹介の人は噛むことなく合唱が始まる。ちなみにKはこれに参加しており、メインではあまり映えないもののハーモニーは結構うまくいっていた。他2曲は「Silent Night」と「White Christmas」。正直、特に無し。
 第2部も終わり、再び全体合唱の第3部へ。「赤鼻のトナカイ」を経て「Deck the Hall」へ。ここではKが一転してバスを担当。う〜ん、やはり男声が入るとガラっと変わるなぁ。来年に男を引き入れられるかどうかで、サークルの方向性の大部分が決定付けられるんじゃないかな。ラストの曲目は「天使と羊飼い」。聴きながら「欧米に興味を持っている人がキリスト教の価値観に興味を持たないのはおかしいんじゃないか」「国際化って言うわりに、他国の道徳教育の元である宗教に関してはノータッチだよな」「そもそも日本における宗教のイメージが…」などの脳内会議が展開されていたり。
 以上の内容でクリスマスコンサートは30分程で終わった。ただ途中から、女性陣の品定めをしていたことは否定できない。…すいません、ウソです。女性の入場と同時に「ギリセーフ」「アウト」「上物」などの判定を下してました。さらに指揮者の足を舐めるように見たりもしてました。
 懺悔終了。ただ、結構な上物だと判断した女性に関しては、ちゃんとアンケート用紙に「とても可愛らしかったです」と書き添えておきましたのでご心配なく(誰が)。曲やコンサートに関する意見もきちんと記入している間に他の客はいなくなり、友人達と話しながら会場を後にする。
 受付にてアンケートを提出しようとすると、なんと受付には例の「上物」の女性が。しかも間近でみるとモロ好み(死語容疑)なことが判明。全く、直球ド真ん中ストレートもいいところだ。顔のパーツが落ち着いて小顔の相武紗季…でもないか。うまく説明できん。
 とにかく突然の女神の出現に内心動揺しつつも、冷静を装い別れを告げるためにKの姿を探す。すると10時の方向から「K君の友達だよね? 良かったら打ち上げに参加しない?」との声。案の定発言者は女神。…落ち着け、落ち着くんだ。話を聞いてみると、予約した人数に足りないらしく、つまり数合わせが欲しいらしい。飲み放題+鍋で費用は3000円。これが普通の誘いなら即断る。何せ間食の費用を浮かすために余剰の海苔を食べてる身だ。だが美女の頼みを無下につっぱねるのもなぁ…、などと逡巡していると、「2000円でもいいよ」の声。
 行きます、ええ行きますとも。即答すると、女神は喜びつつ連れの友人2人にも誘いをかける。軽く「女に貢いだ挙句に捨てられた男」の気分を味わったが、こちらとしても同行者は欲しい。何せ合唱サークルの打ち上げだ。そこに部外者が乗り込むわけだから、できれば同類項は必要というもの。汚い考えの元に友人2人を説得するが、一人はこの数日に飲み会が3つも集中しておりそれを5000円で乗り切ろうというギリギリの男。こいつに「2000円出せ」というのは酷だろう。もう一人は今日ついに念願のファミコンを購入したO君。出費がかさむのを嫌がるが、こちらも浮くのは勘弁なので必死の説得にかかる。あの手この手で揺さぶるものの、彼も金欠らしく芳しい返事は返ってこない。
 そんなこんなで、O君を巻き込めないまま飲み屋に移動する時間になってしまった。もっと女が多いことをアピールすべきだったか…。少なくともKはいるのだが、「金だけ残して帰ってしまおうか」などといった後ろ向きな考えが頭をよぎる。
 しかし、いざ打ち上げが始まってみると、おとなしめの女性が主体なのでイッキがないのは予想通りとして、変に仕切られずに気楽に食事ができてかなり過ごしやすかった。部外者であることを心配していたが、OBやOGの方も多くこの場の全員を理解している人は一握りな感じでそれほど浮かずにもすんだ(はず)。60過ぎのご老人までいたのには驚いたが。対面のOGの方の鍋奉行っぷりに助けられ、快活な下ネタで笑わせてもらう一コマもあり、楽しい時間を過ごさせてもらった。難点は席が狭かったこと位かな。最大の問題は、女神から離れた席に座ってしまったことだが…。まあおかげでチラチラ観察することはできたけどね(下衆)。
 二次会のカラオケ、三次会の部屋飲みもあるそうだが、流石に財布も限界なので早めに引き揚げることにしておいた。これ以上女神に振り回されるわけにはいかんのだ…。あ、幹事の方、部外者料金を1500円に負けていただいてありがとうございました。
 その後、酒が入っている以上バイクには乗れないので徒歩で本屋へ。散々歩いて帰宅すると友人Oから「朝帰りじゃなかったんだ(笑)」の声。朝帰りたいのはやまやまだが、金がね…と、懐の都合にしてみる。
 やはり唯一の心残りは、女神との接触不足。今度Kから写真でも頂いておくとするか。