ジャンプ電子版の第一歩

 ついに牙城に動きあり。今回はあくまで45周年記念号1冊のみの販売だが、将来的な毎号配信が見えてきたか。


 「ジャンプBOOKストア!」ほか、各電子書籍ストアで購入できる。eBookJapanのみ、他と比較して高画質な模様。

 決済方法やビューアの試験も兼ねて、今回はhontoを利用してみた。


 価格は300円(紙媒体は250円)。電子書籍の価格競争には危うさを感じる一面もあるため、付加価値を足してこの値段はむしろ歓迎したい。
 デジタル特典の、鳥山明尾田栄一郎による合作『CROSS EPOCH』(2007年4・5合併号掲載)の再録だけでも充分すぎるほどだ。こち亀の『ジャンプ40年史の旅』もうれしい。
 通常連載の中から4作品はオールカラー版も収録されている。ただ個人的には、モノクロを完成型として描かれた作品に後から彩色されても蛇足にしか思えないので不要(選べるのなら問題ないが、集英社による電子版ジョジョのフルカラー彩色はふざけるなと言いたい。よりにもよってカラーリングが不定の作品に)。着色作業はもちろん外注なので、ある意味でアメコミっぽくはある。腕の良いスタジオが有名になったりするのかも。

 

 鳥山明の新連載『銀河パトロール ジャコ』は期待通りの出来だった。「鳥山明っぽさ」が味わえればそれでいい。宇宙船が着水するシーンでの一連のコマ割りが顕著。紙媒体だとトーンワークがやや見づらいページがあるのが気になった。たまに目にする、デジタル環境の作画で「最終的に紙に印刷されることを判ってるのか?」とげんなりさせられる代物ほどではないけれども。

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 マンガ雑誌の電子版では、モーニングが一歩先を行っている。

 月額500円(週刊誌だが毎号の個別購入ではない)。木曜午前0時、日付変更と同時に配信。ただし『バガボンド』と『BILLY BAT』は収録されていない点に注意。紙媒体で読んでもらいたいという作家の意向らしいのでそこは酌みたいが、人気作が欠けていることを公式サイトに判りやすく記載していないのはかなり心証が悪い。
 iOSアプリによる配信・閲覧なので、iPhoneiPadが必要。Android端末への対応は準備中とのこと。
 登録期間中のバックナンバーはいつでも閲覧できるため、6000円で1年分のアーカイブが可能という点に価値を感じる。