内田けんじ監督の新作『鍵泥棒のメソッド』が期待通りに面白かった。
売れない役者(堺雅人)と殺しの請負人(香川照之)がひょんなことから入れ替わり、そこに婚活中の雑誌編集長(広末涼子)が絡んできて……? という話。
巧い。無難に進行するのではなく、あえて「えっ、それどうなの?」と引っかかりを覚えるポイントを作っては後に解消することで、随所に小さな納得が生じて飽きさせない(伏線……というほど重要でなくとも、だからこそ、観客に覚えておいてもらう必要がある)。
脚本の出来が褒められるタイプの作品だろうけど、きちんと「映像で魅せる」演出に重きが置かれているように見えて好感が持てる。
荒川良々が不意に、小銭入れから硬貨を取り出しては握り込むシーンが上記に該当する好例かな。
堺雅人の情けなくて自信なさげな役って見たことなかったので新鮮だった。香川照之は達者なポジションでぴったり。
広末涼子については、ポケベル時代からのファンで異様な熱狂ぶりを見せる人がいて逆に距離を感じたりすることもあったが、素直にきれいだなと思った。
パンフレットに脚本が丸々掲載されているらしいのだけど、それを知ったのは帰宅後。映画館にパンフだけ買いに行くか……?
内田けんじ監督については、『運命じゃない人』を観て「この人の作品は追い続けるぞ」と決意した。群像劇が好きな人には特にオススメしたい(自分はゲーム『街』絡みで知った)。
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