『ジョジョの奇妙な冒険 第8部 ジョジョリオン』連載開始

 ウルトラジャンプ6月号(5月19日発売)から荒木飛呂彦ジョジョリオン』の連載が始まった。


 『STEEL BALL RUN』完結後に即スタートするジョジョ第8部。問答無用でテンションが上がったところに、第4部と同じく杜王町が舞台との予告で更なる期待感を抱いて待ち望んでいた。


 第1話はとても面白かった。特に「例の問題」の盛り込み方には唸らされる(詳しくは後述)。見所は多々あったが、冒頭カラーページの色使いでもう軽くやられてしまった。

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 第8部以外の活動としては、パリのルーヴル美術館で展示された『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が愛蔵版コミックスとして5月27日に発売された(早くも3刷が決定)。2800円とお値段は張るものの、フルカラーで読む価値のある作品だと思う。


 2011年は荒木飛呂彦の画業30周年、そして2012年は『ジョジョの奇妙な冒険』25周年ということで様々な企画が動いている模様。詳しい情報は公式サイト「JOJO.com」を参照のこと。

 集英社新書の『荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論』(6月17日発売)と、上遠野浩平西尾維新舞城王太郎によるノベライズ企画は非常に楽しみにしている。
 

 以下、第1話の内容に具体的に言及するのでネタバレ注意。









 S市杜王町のモデルとなったのは荒木飛呂彦の故郷である宮城県仙台市。そのため「東北地方太平洋沖地震の影響を作品に反映させるのだろうか」という関心があった。


 果たして、冒頭で町の人口や名産品などのディテールを説明した後に挿入される「しかしやはり『杜王町』も3月11日の大震災では大きく傷ついた」の一文。なるほどやはり、と思った矢先に提示される怪奇現象『壁の目』。フィクションに地続き感を付与してからの奇妙さ。がっちりと掴まれた。
 震災の盛り込み方は、地震が起こったとする世界です、という点に留まらない。壁に対する「海から来る何かを守るかのように」との言葉は津波の問題も存在することを示している。また不審な主人公に相対した女性の、無根拠に感染を恐れる心情は「放射能に対する忌避感」を連想させる(放射能とケガレの関連性については斎藤環が言及している)。研究者に対する不信感も気になったが、そこはちょっと穿ちすぎかもしれない。


 「『場所』とは重要だ…」「これは「呪い」をとく物語――」などテーマの話はこのくらいにして、やはりぐっと来るのは絵の表現。ここぞ!という決めゴマの絵にいちいち頷きながら読み進めていた。定番の「何らかの能力が行使された(しかし一体何が?)様子のビジュアル」もあって満足。そして突然何を言い出すんだ的な「2×2」の引き。次号から一体どう展開していくのやら。

*1:ウルトラジャンプ 2011年6月号 p.5