DS『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』 金子一馬が新作の魅力を語る

 開発者が自作を語る「Creator's Voice」のコーナー。第14回はメガテンシリーズでオリジナルコンセプト、キャラクター・悪魔デザインを担当し、DS『真・女神転生 STRANGE JOURNEY』ではプロデューサーも務める、悪魔絵師こと金子一馬
 以下、注目の発言を引用。

本作は、『真・女神転生』シリーズの本編として4作目になります。
(中略)
普通に発想すると次に来るのは『IV』なんですが、本作はナンバリングタイトルにせず「STRANGE JOURNEY」としました。(中略)本作はゲームのシステムの真髄を見せていきたいというところで限定された空間を探求していくという作りにしたので、シリーズ本編ではあるんだけれど、それまでとは違うんだという意味を込めて、敢えて「IV」とは付けませんでした。

 ナンバリングタイトルではないものの、正式なシリーズ本編と公式認定。

真・女神転生』シリーズと言えば、悪魔と会話し、仲間にして合体させるという悪魔の育成要素だったり、3Dダンジョンだったり、いろんな特色があると思うんですけれども、そういったシリーズの核となるところは本作においても基本的に全く変更ありません。変更はないですけれど、より分かりやすくシェイプされた形で進化しています。

 育成と合体は、デビルソースによって幅が広がり面白くなりそう。主人公が剣と銃を装備している辺りに、旧来のシリーズらしさを感じる。3Dダンジョンには『世界樹の迷宮』のノウハウが活かされているんだろうなと思った。

本シリーズの一番の特色といえば、多種多彩な悪魔が登場することですが、本作にはシリーズ最大級の300体以上の悪魔が登場します。シリーズを通して言えることですが、ゲームに登場する悪魔は全て想像ではなく、世界中の神話や伝承に基づいたものをモチーフにしています。

 メガテンにはまると神話や伝承に興味が出るのはお決まりのパターン。新紀元社の『悪魔事典』は、いわゆるヨーロッパの悪魔に限らず、ロシア民謡オセアニアの精霊まで網羅しているようなので是非棚に並べたい。

バトルはコマンド式で行います。本作では、さらにより遊びやすくするために、コマンドの出るタイミングを早めたり、バトルのエフェクトの時間が演出過多にならないようにしたりと、かなり細かいところまで調整することによって、ゲームをする上でのストレス要因をできるかぎりカットし、ゲームの操作性を高めました。本作はゲームとしてのレスポンスが非常に良い、テンポのいい作りを第一に目指しています。

 こういう所に気を配れるのが、金子一馬が単にイラストレーターではなくゲームクリエイターでもある所以。長時間プレイするゲームほど、細かい時間のロスが積み重なる。個人的にはメニューカーソルがループしないだけでもディレクターのセンスを疑う。

戦闘について、本作が初めての方でも一通り進めるようにしていますけれども、シリーズファンの方向けの手応えもちゃんと残しています。(中略)(とある強敵について)最初のうちは、対抗策がないので簡単に全滅させられたりするんですけれども、工夫をして悪魔を鍛えて合体していくと必ず勝てるようになります。(中略)ゲームも後半になると、登場するボスにかなりいやらしいクセがついているので、それを攻略していくのも、すごく楽しいんじゃないかと思います。

 手応えのある戦闘は大歓迎。特に「対策を講じていないと苦戦」ないし「トライ&エラーで突破可能」というバランスが好き。この匙加減はカスタマイズの自由度によって面白さが増すため、仲魔の育成が楽しいメガテンとの相性は抜群。

本作は、自分が育成した悪魔がパスワードで出力できるのも特色です。(中略)携帯機の遊び方として、仲間同士で集まって遊ぶスタイルをよく見かけるようになっていますが、その一方で1人でじっくり遊びたいというタイプの人も必ずいると思うんです。正直、僕もそういうタイプで、今作に関しては1人で楽しむことを追求しましょうということで通信機能は入れなかったんです。
ただ、今回は悪魔の育成要素がさらに楽しくなっているので、自分が作った悪魔を自慢したくなるんですよね(笑)。そこで出てきたのが、悪魔をパスワードにしてやりとりしたらいいんじゃないかというアイデアです。

 ゲームの通信機能が当然な今、あえてパスワードを実装するアイデアに痺れた。文字列の提示で済むのは大きな利点。1人プレイ前提のゲームは独力で遊びたい主義なので、他の誰かのパスは使わないつもり。有用なスキル持ちなど攻略用の悪魔よりも、ネタに走った悪魔パスが楽しみではある。「こんなパーティでラスボス撃破したぜ」的な。

これをご覧くださる方の中には『真・女神転生』は知っているけれども、なんだか難しそうだなと思っている方がいらっしゃるかもしれませんけど、楽しんでいただけると自信を持ってお薦めできる内容になっていますので、ぜひ遊んでみてください。本当にテンポの良い作りで、レスポンスもいいので、独特なメガテンムードに気持ち良く浸っていただけると思います。

 10月1日に更新された座談会第3回で、プレイした感想について触れられている。

KK@:つねに厳しい戦いが展開するっていう、マゾっぷりが最高だよね! なんてったって、プレイして2回目の戦闘で全滅したぜ!

 真3ハード序盤のガキを思い出した。主人公死亡でタイトル画面に戻されるため、耐性を得られるまで呪殺に怯える日々が再び。
 アナライズの過程が予想以上に面白そう。「逃げる」コマンドが有用な選択肢として一考に値するRPGはあまりない。メガテンだと「パーティが壊滅状態で逆転は望めない→会話で取り入って戦闘回避」というパターンもあり。


 関連する話として、サガシリーズの一部には「逃げる」が実装されていない。「危機的状況から強力な技を閃いて大逆転!」という偶然によるドラマの可能性を入れ込んでいる点を考えると、選択肢を減らすことで開発側が意図した面白さに誘導しているのが判る。
 (シンボルエンカウントだと逃げた後にまた接触して戦闘になる度ロードするのが厄介、強敵と戦うほど成長しやすいシステム、こいつと遭遇してしまったからには全力で叩き潰すしかあるまいみたいな緊張感など、他にも狙いは読み取れる。ちなみにロマサガ1は逃げ続けると詰む)

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 今のところ不安要素が全く見当たらず、気分が高揚するばかり。発売日の10月8日が待ち遠しい。