DS『スローンとマクヘールの謎の物語』感想

スローンとマクヘールの謎の物語

スローンとマクヘールの謎の物語

 レベルファイブの「アタマニア」レーベルのひとつで、DSで遊べる水平思考推理ゲーム(Lateral Thinking Puzzles)。「ウミガメのスープ」と言った方が伝わりやすいかも。

ウミガメのスープとは

全員参加型の推理ゲームである。
なぞなぞやクイズとは違い、司会者の考えた物語を
参加者が質問をしながら推理するパズルゲームである。

ゲームは、司会者が参加者の質問に答えていく形式で行なわれるが
司会者は、yes/no/関係ないなど、最小限の回答しか行なえない。
そのため、参加者は、yes/noで答えることの出来る質問をしなければならない。

司会者の回答から明らかになっていく事項に基づいて
質問を繰り返し、少しずつ真相を解明し、物語の全貌を導こう。

ウミガメのスープinVIP まとめwikiより転載)

問題「ウミガメのスープ

男がレストランで、ウミガメのスープを注文した。一口それを口にした男はウエイターを呼び、「これは確かにウミガメのスープかね」と聞いた。ウエイターは「さようでございます」と答えた。

その夜、男は自殺した。なぜ?

はてなキーワードウミガメのスープ」より転載)


 50問目まで終わったのでとりあえず感想を(収録問題数は80問らしい)。


 質問生成システムはなかなか良く出来ている。問題文のキーワードを選択すると、関連する単語がいくつか表示されるので、それらを線でつないで質問文を作るという流れ。

  • 例1「担当者→男→知る」⇒「担当者は男のことを知っていた?」
  • 例2「担当者→採用試験→合理的」⇒「担当者からの採用試験は合理的だった?」

 真相が正しく推測できている場合なら、「こういう質問がしたいのにできない」といった不満はなかった。ダミーの混ぜ方も適切。
 返答は「はい」「いいえ」「関係ない」の3種類。良い線を付いていると教えてくれたり、方向性を提示してくれたりもする。
 「解答する」を選ぶと、出題者からいくつか質問を投げかけられるので、真相に合致すると思われる選択肢を選んでいく。全て合っていれば、解説が表示されて終了。次の問題へ進める。
 強いて言えば、最大の難点はこの「解答する」のプロセス。言葉のニュアンス等のせいで、「真相は完璧に判っているのに、選択肢を間違って不正解にされる」ということが度々ある。システムの都合上、紛らわしい選択肢も混ぜておかないといけないので、仕様がないとは思うが一応書いておく。
 公式サイトに体験版があるので、興味のある方はとりあえずやってみて下さい(何で発売日の前に公開しなかったのか甚だ疑問。初動が重要なタイトルじゃあないとはいえ、ゲーム誌に広告を打っておきながら体験版がまだ出来てませんというのは宜しくない)。


 真相を明らかにした時より、鋭い質問によって思考の枠組みが変化する時のカタルシスがこのゲームの肝だと考えているので、「良い質問です!」と「すばらしい質問です!!」のエフェクトに最も爽快感があるのはポイントが高い。全体的に、演出が控えめで淡々としているのは好感触。そういう意味では、人によっては味気ないと感じてしまうかも。
 問題の内容に関しては、やや期待外れといった印象。問題文を一読しただけで解けてしまう、とんちというか多湖輝の頭の体操のような問題が思っていた以上に多い。徐々に難易度が上がっているようなので、トータルで考えればこの不満は薄れるかもしれない。
 率直に言ってしまうと、誰かと遊んだ方が絶対に面白い。だからこそ、出題者としてのテクニックに触れている「みんなでたのしむ7つのコツ」をおまけモードに収録している点は高く評価したい。
 書籍も刊行されている。1作目は81問を収録していて1365円。質問ができるとできないのでは雲泥の差があるため、DSと質疑応答できて3500円というコストパフォーマンスはそう悪くないと思う。


ポール・スローンのウミガメのスープ

ポール・スローンのウミガメのスープ


 本作を充分に楽しみ、対人での出題、回答に興味を持った方は2chオカルト板の「ウミガメのスープ」スレを覗いてみるのも良いかもしれません(1ヶ月ほどROMっているけどなかなか面白い)。


 ストーリーを語る際に人物のシルエットが表示されるんだけど、水着の女性のシルエットを見るともうDS『きみのためなら死ねる』しか思い浮かばない。


(追記)セーブデータは3つ作成できるが、それぞれに入力した自分の名前は変更できず、セーブデータの消去もできない。技術的に不可能なはずがないので、最大の難点というべきはこちら。(追記:5月24日)データの上書きは可能。