『good!アフタヌーン』#02(2009年1月19日発売)雑感
次号は3月7日発売。表紙は沙村広明『ハルシオン・ランチ』。伊咲ウタ『サヤビト』が新連載。
※以下、作品の内容に言及しています。ネタバレ注意。
高橋ツトムは上下は常に断ち切りだが、左右にコマをはみ出させることは少ない点に気が付いた。やっぱり漫然と読むより、何か感想を書こうという意識で読んだ方が発見がある(有意義かどうかはまだ別)。ストーリーの方はてんで判らないんだけど、2月23日から10ヶ月連続で発売される『地雷震』の新装版を買おうか迷ってる。
2話のサブタイトル「ブラジルといえば未来世紀」で笑った。テリー・ギリアム監督の映画『未来世紀ブラジル』は有名な作品だし一見の価値アリだと思いますが、決して万人にはオススメできません。個人的には好き。
性格の悪い主役は嫌いじゃない。とはいえ、そろそろ石堂の鼻っ柱が折れる展開が見たいなぁ。あと7ページ2コマ目のごはん粒が残った茶碗、自炊している母親なら普通は水に漬けておくのではないかと(どうでもいい)。
- 藤島康介『パラダイスレジデンス』第2回
柱の作者近況に「いろんな方の協力でできております」とある。でも別に取材とかしてないだろうから、これと女神様の担当編集者以外に見当が付かない。次号は休載。残念。
- 原作:香月日輪、作画:みもり『地獄堂霊界通信』第2話
第1話でリョーチンの韋駄天設定を見て、事件の要所でこれを活かしたシーンがあるだろうなと思ったのに全く活躍の機会がない。原作だとどういう構成になってるんだろう。
- 吉田基已『夏の前日』第2話
いきなり接吻してしまったことを思い出して赤面する晶さんが可愛い。
「女のひとを断っているの?」という台詞には吹いたが、絵を描かない人間は画家の生き方を想像するしかないという心情には同意。そして早くも濡れ場、しかも結構なページを割いてることにびびる。
- 風呂前有『鼻血がとまらない』第1話
つまらなくはない。でも、笑いを狙っている個々のシーンでずばりと面白いとも思わない。何だか妙な読後感が残った。あと作者の名前を「ゆう」だと勘違いしていた(正しくは「ふろまえ あり」)。
- 深山和香『ロケットスターター』Act1
少年マガジンで、若山清司名義で『素敵探偵ラビリンス』(原作は万城めいと)を描いていたとのこと。マガジンは女性作家に男性風のペンネームを付けさせる印象がある。
植物がジャングルっぽいせいで島の文化レベルが低いイメージがあったので、島に図書館があるというのは意外だった。1ページ目の島の全景をよく見ると、港もしっかりしてるみたいだし建物の数も多い。
冒頭のアオリ文を見逃していたため途中からの4コマ移行に驚く。「108式まで」等々ネットの流行り言葉ネタが過剰な気が。「くそみそテクニック」ネタの多用は率直に言ってくどいと思った。
- 釣巻和『水面座高校文化祭』第1話
カラーの見開きの雰囲気が良い。自信に満ちた実行委員長がいかす。着ぐるみで見えない草野の顔が今後の展開にどう絡んでくるのか気になるところ。商店街の皆さんが陣中見舞いに押し寄せるシーンのどたばた感は須藤真澄『庭先案内』を連想した。気に入った方はCOMICリュウで連載中の『くおんの森』も面白いのでそちらも是非(1巻が発売中です)。視線誘導について気になった点は下に別記事で。
いかにもな「いい子」という感じの後輩の女の子と出会ってその子が近付いてくる→「何かベタすぎて面白味がないな…。髪型は好みだけど」
主人公が放課後に物音がする教室に入って真っ白になるコマ→「当然何か難点があるよねー。わくわく」
ページをめくると後輩の子が主人公の縦笛をくわえているシーン(見開き)→「なッ…! まあ可愛げのある方向なのか。…でも高校でリコーダーって違和感あるなぁ」
次のページでくわえるなんてレベルじゃなく、しゃぶりついて唾液を吸いだしているシーンが→ドン引き
主人公と同じクラスで仲良さげなロングヘアーの女の子に危害が及びそうな予感。いやでも、作者近況のコメントからはそんな嫉妬に狂う展開は想像しにくいな…。
- 岡崎二郎『まるまる動物記』第1話
ものすごく学研が似合いそうな雰囲気。鳥は近紫外線領域の光を見ることができるため、半透明でも黄色いゴミ袋だと中の生ゴミが見えていてもカラスは気付かない…という話は随分前に夕方のニュースで取り上げられていた覚えが。単に紫外線光を利用して獲物を探せる鳥類の生態を紹介するだけでなく、光を感じる視細胞が少ない目は色覚への依存度が低いために擬態を見抜きやすいことにも触れ「能力の優劣というものは場所(条件)が変われば簡単に逆転してしまうことをよく物語っている」と〆る辺りが流石。
今回の主役は銀細工職人。アンビバレントな感情は判るなぁ。彼が1話目で登場していたり、2話では前回の本工房の小春さんがちらりと出ているのが好き。…十和田さんは会社員になったのか。
- 野中英次『赤い空 白い海』第4〜7話
「地球最後の夫婦」の、片方が悩んで何かを隠そうとしている感じが野中英次らしい。隔月とはいえネタ出しが大変じゃないのかな。
- 若宮弘明『蹴球少女』第2話
主人公の部屋で流れてる猫のアニメの台詞はゲームのネタだそうだけど全く知らなかった。脇にネタを入れ込んでくるのはむしろ歓迎なんだけど、それなら正確に(この場合なら一般的な形で)引用してほしい。今作では「さすが汚い…忍者汚い…」、ネットでは主に「汚いなさすが忍者きたない」が使われている模様なので。
何故『ロッキー』に恐怖心を…と思ったらそういうことか。手の込んだカムフラージュは悲劇の入り口。
映画の『レッドクリフ Part I』、試写会の段階ではPart Iが付いてなくて後編があることが告知されてなかったのか…。2時間半観て赤壁の戦いが始まらないまま「続く」の文字がスクリーンに映し出されたら、そりゃあ評論家は広報に詰め寄るよね。「続く」を伏せていた例として真っ先にPS2『DIGITAL DEVIL SAGA 〜アバタール・チューナー〜』を連想した。
- 秋山はる『桃色自転車』
主人公の散らかった部屋や質素な食生活に共感(単行本が乱雑に置かれているのはいただけないけど)していたら、母が電話で「あんたもいい年していまだにマンガ大量に買いまくったりしてないでしょうね」。ドキーッ! あと本屋でずっしり重いほど本を買ったら紙袋に入れてもらえると思う。
- 虎哉孝征『カラミティヘッド』第2話
主人公が追われていることが発覚。そして自宅に置かれていた生首。急激に緊迫感が増した。推理小説大好きな身としては、「死体の頭部を持ち出したのは犯人が人頭崇拝というオカルティズムに傾倒しているから、…と見せかけて首を切断せざるを得ない何らかの理由がある」みたいな展開が理想。
- 原作:平井清、漫画:篠崎司『このねこばなし』第2話
このねの空想昔話、何だか良いなぁ。「お姉ちゃんが合格しますようにってパパとお祈りしてくるの」のコマでぐっと心情を込めておいて次のページの最初のコマが若干コミカルなメリハリとか、姉妹の教訓に関する2度のやり取りの流れなんかも好み。
「いったい何おっぱじめるつもり?」
御主人様、ヤバイです(イワザル@killer7)。