『good!アフタヌーン』初号(2008年11月7日発売)雑感

※以下、作品の内容に言及しています。ネタバレ注意。



 

 媒体としてのマンガに好きな要素は色々とある中、絵やストーリー以外の部分から作家らしさを読み取る感覚がすごく好きだということを改めて認識した。今回でいうと、マリアの変装がばれると同時にフクロウが帰ってくるシーンや、ページ上半分に橋の様子が描かれている「このアタシを振ってまで」の見開きなどでの「ああ、自分は今石川雅之のマンガを読んでいるんだなぁ」という感じ。

 最後のページで唐突に出てくる超小型バイクや、欄外での次回予告の「たぶん女の子率100%でお届けっ!!」という点に作者の趣味全開な様子が見て取れて何だか微笑ましい。藤島康介の「間」は割りと好き。

 カラー2ページ目、アオリ文はあるのにタイトルがないためすごく違和感。読み返してみて、主人公がアレな性格なのに団体競技のバレー部に入った理由が気になった。空手を辞めた事情と何か関係があるんだろうか。

 手作り本工房の仕事に興味津々。「本にしたい程思い入れのあること/本にしようと思い立つんは大概/やめはる時なんです」辺りの流れでしんみりした。

 多用されているカケアミのせいか、『水の色 銀の月』の頃より絵に魅力を感じる。絶好調な青木の台詞「気が強い……/年上の女に……/やさしく叱られたい」に笑った。

 隣の単行本宣伝ページに谷川史子の応援イラストが寄せられているのを見て、声を上げて驚いてしまった。組み合わせが予想外すぎる。

  • 板羽皆『3センチメンタル』第1話

 耳に悪いフィルターが付いていて、やさしいことを言い合ってるのに全部悪口にすり換わってしまうという空想を読んで、『うみねこのなく頃に』を連想せずにはいられなかった。

 メルギブさんの『サイン』ネタでにやり。

 妙に都合の良いハプニングによるお色気シーンという流れはよくあるけど、まさかヒロインが完全な痴女とは。彼女の誘惑を断る主人公の理由「あのマラドーナだって欲におぼれてダメになったんだ」に大笑い。

 創刊号で一番のお気に入り。書き文字の台詞や注釈も含めてことごとく面白く何度も読み返した。「カバンを食う人間なんていませんよ……ファンタジーやメルヘンじゃあないんですから」という台詞を見て、「ということは2ページ前の「グッド!」はダービーの可能性があるのでは…」と思った。
 今作が面白かったという方は、是非『竹易てあし漫画全集 おひっこし』もチェックしてみて下さい。