ジャンプスクエア5月号雑感

 2人の特徴がうまく混ざっていて面白かった。原作でネームを切るところまで担当しているため「間」は完全に鳥山明で、キャラよりも擬音語の書き文字や集中線などの画面効果に桂正和らしさを感じた。尻のアップなのにパンツのしわを描いていないのは意外だったけど、「デフォルメ絵が今回の課題だったので」とのこと。
 対談(計6P)は主にお互いの作風について語っていて非常に興味深い。「内容がないのが好きで、感動させる要素を避ける鳥山」VS「心情描写で人間味を出したい桂」という対立の図式とか。鳥山明にはまだまだマンガを描いてほしいんだけど、昔からペン入れが嫌だと繰り返し言っているから望みは薄そう。今回の企画での反省点として「わざと自分でどうでもいい話にしている」ことを挙げ、「同じスタイルをずっと続けていくのって、嫌じゃない。固まったら終わりだからね」と話していることから、今後もマンガに携わってくれると信じたい。

 奇抜な設定、終着点が予想しにくい展開、作品構造に縛りの少ない読み切り、描写に容赦のない鬼頭莫宏…。物語において意外性に大きな魅力を感じている自分にとっては御馳走のような作品。
 インタビュー(2P)は物語の「救い」に関する質問からリアリティの話題に。「(作風が暗いとよく言われるが)僕にとっては、当たり前のことを当たり前に描いてるだけのつもり」とのこと。「リアルさを描くには様々な経験が必要なのでは」という質問に対して、「人間の行動なんておおよそ頭の中で考えつくことができるんじゃないかなとも思うんです」など色々と語っている。

 ノーマークだったので驚いた。とがしやすたかを呼んでくるとは。

 新人の割には小奇麗な絵だな、という印象。悪く言えば味がないんだけど、ギャグのデフォルメ絵はそこそこ特徴的かも。
 プロフィールの好きな言葉に、プロシュート兄貴の台詞「おいテメーさっきからうるせえぞ(略)「ブッ殺した」なら使ってもいいッ!」を7行に渡って引用していて笑った。どうせなら中略せずに丸々載せてほしかったなぁ。

 人体損傷の描写を見ると、『武装錬金』でジャンプの編集者に目潰しの直接的な描写を規制された話を思い出してしまう。その辺りの基準ってよく判らない。読み切りで登場したキャラがどう絡んでくるのかが気になるところ。

  • 書店員の激熱本音!! このマンガがゼッタイ!売りたいんですーッ

 ジュンク堂書店・池袋本店の店員の方2人へのインタビュー記事。いつも利用させてもらってます。他社作品が色々と紹介されてて、スクエア編集部は懐が広いなぁと思った。ちょっとBLの話題を振りすぎなのが気になったけど。水城せとな『窮鼠はチーズの夢を見る』と山口正人『任侠沈没』は買おうかな。
 それと、この記事の関連で中村光のインタビュー(1P)が掲載されてる。自衛隊が大好きなようで、高校卒業間際に「入隊します」と広報に連絡してヘリに乗る体験をしたり、社会人になってからも富士山での合同訓練を見に行ったりしてるとか。



 アシスタント募集記事の「美術スタッフ募集」という言葉に違和感ありまくり。どうしても、映画や舞台の大道具や小道具を連想してしまう。