2007年に単行本が発売された作品、または雑誌に掲載された作品と対象とします。2007年に面白かった作品というより、単に今自分が好きな作品を選びました。既に広く読まれていると思われる作品は選外とします。それに関して三大少年誌やメディアミックスなどのメジャー基準を設けようかとも思いましたが、面白いマンガを紹介することに枷をはめすぎても良くないと思うのでその辺の匙加減は曖昧です。
- 青木幸子『ZOOKEEPER』
- 作者: 青木幸子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/09/22
- メディア: コミック
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温度を視認できる新米飼育員を通して動物園の内情を描く。動物の生態に関して、動物園という視点(例えば繁殖管理)によって見えてくる事柄が興味深い。物語の中では一応の決着を付けながらも、問題提起を残して終わる構成も良い。
- 作者: 石黒正数
- 出版社/メーカー: 少年画報社
- 発売日: 2006/01/27
- メディア: コミック
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メイド喫茶マンガと見せかけて、商店街の日常を中心とした自由気ままな作品。「面白いマンガある?」と今聞かれたらこれ。「間」が非常に心地好い。小学生の弟と夜遊びに出かける話が好き。あと真田が絡んでくると笑ってしまう。
- 作者: 伊藤悠,佐藤大輔
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/03/18
- メディア: コミック
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日露戦争のような図式にテレパシーなどのファンタジー要素を絡めた戦争モノ。劣勢に苦しみ緊迫感が漲る中で権謀術数が光る。奇麗事に捉われず、確固たる信念を持つ主人公が魅力的。
- 作者: オノ・ナツメ
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2007/08/28
- メディア: 単行本
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従業員がみな老眼鏡紳士というレストランが舞台の『リストランテ・パラディーゾ』の番外編というか、主人公を立てずにエピソードの幅を広げた作品。うまく説明できないけど、ヨーロッパの映画を思わせる雰囲気が素晴らしい。ルチアーノの話がお気に入り。
- 作者: 志村貴子
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2003/07/01
- メディア: コミック
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女の子になりたい男の子と、男の子になりたい女の子の話。性に関する悩みには共感できないはずなのに、登場人物の喜怒哀楽に強く感情移入してしまう。葛藤する高槻くんも良いけれど、一般的な立ち位置と感情の発露っぷりから真穂が好き。でも見ていて一番にやにやしてしまうのは千葉さん。ただ苦労を感じさせる佐々さんもなかなか…。
- 作者: 冬目景
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1999/03/19
- メディア: コミック
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明日の見えない青年を中心とした男女4人の恋愛模様を、どこか陰のある筆致で描く。とはいえ、冬目景の作品には珍しくコミカルな場面が多い。度を越して好きで客観的な判断が付かないため迂闊にオススメできないくらい、自分にとって大きな作品。大学を出たもののフリーター、過去に写真をやっていたなど、主人公と共通点が多いのが一因だと思う。とにかくハルが可愛い。
- 作者: 林田球
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2002/01/30
- メディア: コミック
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ほのぼのグロテスクファンタジー。世界観も画風も独特のセンスに溢れている。「2巻から面白さが判った」という意見をよく聞くので、これから読んでみようという方は1巻だけで判断しない方が良いかも。謎を呼ぶ本筋も面白いけど、より登場人物のやりとりを楽しめる幕間的なのんびりした話が好き。臓物が出たりしていてもグロさを感じないのが不思議。
- 作者: 福満しげゆき
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/12/21
- メディア: コミック
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内向的で鬱屈した日記マンガ。マンガ家の仕事の中でも、編集とのやり取りが判って興味深い。特に他誌での連載に関してもめた話が生々しい。講談社のパーティーで孤立した際の「結局/男女でグループを作れる人間とそうでない人間に分かれるのか……」という台詞に痛く共感。それにしても、福満しげゆきをモーニングで読むことになるとは…。
- 作者: 藤田和日郎
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2007/04/27
- メディア: コミック
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尋常でない殺戮能力を持つ梟と、深い因縁のある老いた猟師との対決を描く。当初の連載予定をオーバーしたことも含めて、藤田和日郎の言うなれば「漫画力」を改めてひしひしと感じる。本筋の展開や各人物のエピソードの絡め方もうまいし、絵の迫力も流石。しかし鳥山明もそうだけど、少年誌での長期連載が終わると老人が活躍する作品を描きたくなるものなんだろうか。
- 作者: 山名沢湖
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2006/11/11
- メディア: コミック
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誤解されがちで突っ走りがちなアイドル好き女子高生の話。絵が可愛い。エンターブレインなどは山名沢湖をメルヘンチックな話やふわふわしたイメージで売り出しているけど、この作品のような「何かに情熱を傾けている姿」こそ彼女の絵が映えると思う。2007年の「なんとなく手に取ってぱらぱらと読んだ作品」堂々の第一位。