最近読んだ本からめぼしいものを。
- 「言葉の常備薬」 著者:呉智英
今回イチオシ。あ、呉智英で「くれ ともふさ」と読みます。
普段何気なく見聞きしている言葉に、鋭い視点で切り込んでいったり、誤用を訂正したり、といった本。
最近ではありがちな本だが、著者の呉氏は筋金入りの読書家なのでその膨大な知識に裏づけされた説明には唸らされる。しかも結構な数のエッセイもこなしているだけあり、文章は読みやすく面白い。
たびたび紹介される彼の推測にも面白いものが多い。「お前の母ちゃんデベソ」のデベソが「大きな女性器」を意味するという推論にはもう驚くやら目からウロコがこぼれ落ちるやら…。
買え! とまでは言いませんが一読の価値あり。お近くの図書館で探してみては。
- 「知の集積 時代のライブラリー」 著者:呉智英
雑誌に連載していた書評を集めたもの。二冊を対比して評するスタイルで、後半は漫画の書評。
面白そうな本を手っ取り早く見つけるのにはもちろん、トピックごとの著者の意見も興味深い。
彼の最近の漫画評を是非聞いてみたいのだけれど、どっかで連載でもしてないのかなぁ…。
- 「問題な日本語」 編者:北原保雄
「この日本語は間違いでは?」という質問への回答集。若者言葉に限らず、例としては
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- 「こちら〜になります」
- 「わたし的には〜」
- 「とんでもありません」
- 「台風が上陸する可能性があります」などなど。
現代語の文法に即さないから間違い、とするのではなく、なぜそのような言葉が生まれたのか解説したり、必要とあれば昔の文学作品にあたってみるなど一歩踏み込んだ内容。全体的に擁護寄りだが、理由もしっかりしている。「全然いい」には反対派の私も、ちょっと考えを改めさせられた。
漢字の誤用を取り上げたコラムや、いのうえさきこの四コマも面白い。
ただ、「やむおえない」の例には驚いた。こんな間違いしてる人いるのか? また、高知出身の友人が「ちがかった」を聞いたことがないことにも驚いた。
まあ言葉の多様さを実感するにはお手ごろだろ思う。
他にも何冊か読んだはずだけど、印象に残ってないのでパス。