黒咲練導『放課後プレイ』


 ゲーム好きな主人公の家に同じくゲーム好きな彼女が遊びに来て、何かプレイしながらだべったりいちゃついたりする話。1巻表記はないが電撃プレイステーションの付録、電撃4コマにて『放課後プレイ2』が連載中。

 ネットではエロいという評判や売り込まれ方を目にするし、牛乳がこぼれてしまって…みたいなシーンが事実あったりする。ただ個人的にはそういったサービスより、べたべたすることに慣れてない恋人同士の距離感や恥ずかしがっている様が妙に気に入った。顔を赤らめてる彼女さんを見るとにやにやが止まらなくて困る。ちょっと異なる具合の第12話(猫耳を付けてくる回)では驚くほどに感情を揺さぶられてしまった。P129のイラストが特に良い。



(恥死寸前な彼女さん)*1

(素直な言葉に驚く彼女さん)*2

(さっきのことを思い出しかけてる彼女さん)*3


 ゲーム好きな人ならプレイ中の会話だけでも楽しいと思う。主人公が彼女さんに設定している着信音は笑った。「篠房六郎に言わせれば、自分なんかも知識に貪欲じゃない世代のオタクなんだろうな…」と近頃寂しい思いに捉われていたけど、「プレステ3でもあるんだ、ベスト」という台詞を読んで即「これはPS3FolksSoul』のことでは…」と予想したのが的中していて自惚れる(作中でタイトルは出てないけど、その後の「イドゲットだぜ」という台詞と6軸検出機能を使っている様子が根拠)。あと第10話冒頭のゲームは「めっさうまそーに木の実食いやがってからにー」の台詞からおそらくPS2オーディンスフィア』。
 また、WiiNO MORE HEROES』が遊ばれていてうれしかった。Wiiリモコンを縦に振っていて「つーか超セクハラなんですけどこのゲーム!!」なんて発想に至ってしまう彼女さん(もちろん赤面)が可愛かったので尚良し。あと痛車の話題での、給油口がキャラのパンツの部分になるようにしておいてバイトの女の子にセクハラするというアイデアには膝を打って感心した。「自分の発想力もまだまだだな…。これが地頭力ってやつか」と。
 値段の差が1000円くらいなら作ってる人に還元されるよう中古でなく新品を買う、という彼女さんの方針も好感度が高い。「ゲーム雑誌だからではないのか」という見方も当然あるだろうけど、主人公が『メタルギアソリッド3』は面白かったがMGS4は特にやる気がない理由を丁寧に説明してるからそうは考えにくい。
 ちょっと重箱の隅をつつかせてもらうと、直接チュンソフトが開発しているのが「不思議ダンジョン」、商標を貸して他社が開発している場合は「不思議ダンジョン」(チョコボとか)。まあ「エミネムマジかんけいねえ!」の元ネタが判らなかった八つ当たりということで。
 更新前にはてなキーワードを確認したら、巻末コメントや重版の経緯まで書かれていて驚いた。愛されてるなぁ。

*1:P17

*2:P25

*3:P56