トリッキーな下ネタショートショート作家、位置原光Zの新作お披露目の機会がめぐってきた。
週刊ビッグコミックスピリッツNO.33(7月13日発売号)より『特別サービス』が短期集中連載(全5回予定)、やわらかスピリッツ(Web)では出張版『特別サービス MORE SPECIAL!!』が不定期で掲載される。
集中連載とはいっても「日常のなかのちょっと過激な女の子オムニバス」*1なので、気負わず読める。
本誌第1回は「出張サキュバス」(日常?)。「もしも召還術がデリヘルだったら」的なシチュエーション。設定こそファンタジーだが、ちょっとアレな女の子が来てしまった状況における「私はホラ、オッパイ見てください!/オッパイありますよ!」「いやその…オッパイがあったところで…!!」みたいなやりとりの生々しさがいい味を出している。
ファンにとってはいつものノリ。しかし同人誌即売会コミティア出身で、不定期刊行のアオハルや季刊の楽園といったマイナー誌で活躍してきた作家が、コンビニに毎週並ぶタイプのメディアに乗り込んできたのは大きな変化だ。
導入部分の2コマに、タイトル・コピー・アオリ文がギュギュッと詰めこまれた様子から、パラ見で読み飛ばされたら終わりな戦場だと伝わってくる。
(週刊ビッグコミックスピリッツ 2015年NO.33(通巻NO.1781) p.163)
Web第1回のサブタイトル、本文中では「バイブ」、サイト内では「きちく」になってるがどちらが正しいのかな。
縄で縛られガムテで口をふさがれた女性の前で、不敵な表情を見せる男。部屋には無数の大人のおもちゃが……。
上の画像と比較すると、編集部による手の加え方の差がよく判る。
気に入った方には以下もオススメ。
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スピリッツの同じ号に第76回新人コミック大賞で大賞の読切、むつき潤『ハッピーニューイヤー』が掲載されている。
みすぼらしい中年男性が足を向ける年賀状仕分けのアルバイト初日、現場を仕切っているのは熱烈なバンドファンの女子高生(ピアス・マスク・大音量イヤホン)だった。
小学館の青年誌の新人らしい絵。写実には寄せない描線、にもかかわらずメイクの差を入れこんでくる所が目を引く。
郵便法について「これらの行為は犯罪です」と警告する貼り紙に「郵便物を盗む」レベルのことがずらりと書かれていて、採用される人間の下限が想像される。こういったディテールは細かい。中年の素性は判らない中で、軽い職業マンガ的な情報と女子高生のキャラクターでまず引っ張り、中盤の緩急と終盤のドラマにつないでいく。
目から吹き出す涙の表現が好きだなと思っていたら、作者のデビュー記念インタビューでキャラの泣き方について触れられていた。ですよね。
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スピリッツといえば、中崎タツヤ『じみへん』の連載終了が告知されたのには驚いた。1989年から続く最後尾の顔。還暦を迎えるにあたっての決意ということらしい。残すところあと4回。
オードリーのオールナイトニッポンで、『じみへん』が大好きだと語る若林がしゃべりながら自分でどんどんヒートアップしていく様子が面白かった。何度も読み返したという話を放送中に何度もしていたし、いちばん影響を受けたのは『じみへん』かもしれないという「告白」は衝撃的な意外さがあった。
*1:巻末目次のコピー