サガシリーズが魅せたバトルのエッセンスが新たな姿に結実!? 3DS『レジェンド オブ レガシー』発売直後のインプレッション


レジェンド オブ レガシー - 3DS

バトルが醍醐味のRPG

 超・期待作『レジェンド オブ レガシー』がついに発売された。まずざっくりと特徴を。

  • コマンド式のニュークラシックRPG
  • 探索・育成・バトルを軸に自力で発見する達成感を重視
  • 90年代のスクウェアRPGが好きなユーザに強くアピール


 どういう面白さを目指して企画されたゲームなのかは、本作のディレクター松浦正尭がインタビューで詳細に語っている。末尾のコメントが燃える。

本作の魅力を一言で伝えるならば、「雑魚戦が一番おもしろいRPGです」としか言いようがありません。アヴァロンのモンスターは、とても強いですが、全滅する度にプレイヤー自身がどんどん強くなっていきます。散々負け続けたモンスターに、試行錯誤の果てに初めて勝った瞬間の何物にも代えがたいRPGながらの達成感を、ぜひ体感してください!


 ただまあ人によっては、以下のツイートで画像を見てもらった方が早い。

 「サガじゃん!」そうなんです。明らかに『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』っぽい。7人の主人公からひとりを選ぶし、戦闘中に新たな技を修得もする。さらにイメージイラストには小林智美、音楽には浜渦正志を起用。
 しかしながら「ガワをサガに似せただけのまがい物」ではないはずだと、新しい何かがあると信じられる確かなポイントがある。このプロジェクトの中核には小泉今日治がいるからだ。

ゲームデザイナー:小泉今日治

 スーファミ時代のRPGが好きな人なら「閃き」と聞いてピンと来るかもしれない。バトルの最中にピコーン!と電球が光り、新たな技をくり出すアレだ。決められたレベルで呪文を覚えるのとは違って、キャラクターがいつパワーアップできるかはランダム。しかしそれゆえに、強敵に苦戦していたら強力な技を放って逆転、みたいなプレイヤーにとってのドラマが生まれたりもする。
 小泉今日治は『ロマンシング サ・ガ2』でバトルデザインを担当。氏の考案した「閃き」システムは、サガシリーズの生みの親である河津秋敏に高く評価された。その後も『サガ フロンティア』の「連携」、『アンリミテッド:サガ』の「リール」など、手に汗にぎる戦闘を演出するための仕組みを作り上げている。
 ちょっと正確な文言を引用できないのだけれど、「開発した自分が遊んでも面白いバトルを」「ボス戦はプレイヤーがまあまあ準備して7割勝てるくらいのバランスがいい」という氏の思想には強く共感する。ランダム性に翻弄されながらも仕様を把握することで勝利に近づく感覚はたまらない(たとえばローグライク)。
 余談。ボスは勝てるように作らないといけないが避けてもいいザコ敵の強さは容赦なし、というのが河津秋敏の見解。 【原文】
 

 ただそれも昔の話。氏は随分と前にスクウェア・エニックスを離れ、現在はグレッゾに所属している。でも、たとえRPG的な形でなくても、いつか小泉今日治の新作にお目にかかれる日が来るのでは……という淡い期待で、しばらく前から一応動向は追っていた。
 そして2014年9月。3DSレジェンド オブ レガシー』が発表された。クレジットに刻まれた「ゲームデザイン小泉今日治」。夢かと思った。しかもバトルを主軸に組み立てられたゲームだという。企画達成に向けて尽力したディレクター松浦正尭には非常に感謝している。

肝心なのは遊んでいて面白いのかどうか

 2時間ほどプレイしてみた。ちなみに選んだキャラクターはオーウェン、ガーネット、エロイーズ。


 戦闘システムの要点はふたつ。
 まずフォーメーション。本作は3人パーティで、アタック・ガード・サポートの役割の組合せをターンごとに切り替えながら戦う(例:体制を整える場合はガード・サポート・サポート)。MMO的なソロプレイ用ゲームでは明確な盾役(タンク)が存在したりもするが、キャラごとの「仕事」を固定するのではなく状況に応じて流動的にしたいのだと思う。サポートに配置すると行動速度と回復効果がアップするなどポジションに応じたボーナスが得られるが、どうやらここに何かありそうだ。
 そして双次元バトル。味方と敵のほかに、フィールドには精霊の力が作用しているのでそれを活用しましょう、と。炎の術を使うと場を占める炎属性の影響力が増す(相対的に水・風・邪が減る)。「基本的には」術を唱える前にまず精霊と契約する行動が必要だが、モンスターと接触して戦闘に入る前に工夫の余地があったりする。


 まだ序盤も序盤なので、システムの理解の過程も含めて……というかそこをメインに楽しんでいきたい。手強い敵と全力でやり合うためのお膳立てはさすが(クイックセーブで即座に再戦可能、バトル終了でHP全快)。とりあえずさっき強敵に1人死亡2人瀕死に追い込まれてどうにか立て直しの可能性が見えかけるも全滅、フィードバックを元に立ち回ったら危なげなく勝利できて「これよこれ!」と笑顔になってる。