荒木飛呂彦『岸辺露伴 グッチへ行く』 女性ファッション誌『SPUR』特別付録に
- フランスの次は、イタリア・フィレンツェへ――!! 『岸辺露伴 グッチへ行く』、モード誌「SPUR」10月号(8月23日発売)に掲載! - @JOJO
- 荒木飛呂彦「岸辺露伴 グッチへ行く」モード誌SPURに登場 - コミックナタリー
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2011/08/23
- メディア: 雑誌
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女性向けファッション誌『SPUR』(シュプール)10月号(8月23日発売)に別冊付録として、GUCCIブランド創設90周年&荒木飛呂彦執筆30周年記念作品『岸辺露伴 グッチへ行く』(オールカラー16ページ読切)が収録されている。雑誌の表紙も荒木飛呂彦の描き下ろしイラスト。
誌面ではインタビュー2ページを掲載。また、グッチ新宿にて本作の原画展とグッチ最新コレクションの展示を合わせた企画が予定されている(9月17日〜10月6日)。
読み切りの感想
1ページを丸々使った単体のイラストとして成立するファッションモデル的カットが目を引く。吹き出しの中に、台詞に対応したアイコン風のイラストを描き込む手法は『STEEL BALL RUN』クライマックスで多用され目立っていたが、今後も使っていくのだろうか。
『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』同様、フルカラーだからこそ「あえて色を抜く」コマの印象が際立つ。特にp.10の3コマ目はキーとなる色を強調する効果も合わせてベストカット。
グッチの宣伝には素直に感心した。ブランドの理念である『伝統』と『革新』か…。
伝統を重んじ
伝統の美しさの中から 現代に通じる
新しい美を生み出し
最高の品質と革新性を 追求するのが
グッチの哲学です
(SPUR 2011年8月号付録冊子 p.8)
いちファンとしてはとても面白かったが、ジョジョを読んだことのない本来のSPUR読者の意見を聞いてみたいところ。
インタビュー注目点
1987年に初めてイタリアを訪れてハマった話、キャラクターの服を描くこだわり、今作のための取材について取り上げている。特に気になった発言を記しておく。
(以下の引用部分は全て、SPUR 2011年8月号 p.173から)
「当時は映画『トップガン』に出ていたようなレザージャケットを探してたんですけど、イタリアで見るレザーがね、もうモノが全然違うんですよ。そこでイタリアンファッションにも目覚めましたね」
[中略]
「美術で特に好きなのはローマのボルゲーゼ美術館にある彫刻『アポロとダフネ』(ベルニーニ作)。アポロに追われたダフネが月桂樹に変身する瞬間を像にしていて、手足が途中でねじれて回転しながら樹木に変わってる。『あ、これスタンドだ!』って」
少年マンガにおけるジョジョの特異性はやはり、美術品が主なインプット元のひとつであることによる。
「服を描くのは楽しくて、たとえばパンツのシワ。裾のシワを決定するとそれが全部つながって腰までのシワの流れが一気にでき上がる。それが楽しい」
[中略]
「面倒くさいけど、そのキャラにはそのディテールが必要だから描くんです。そのうち徐々にキャラ自身に服の好み、ファッションセンスができ上がるんですよ」
キャラクターのディテールを固める材料として、プロフィールが細かく設定されているのは扉絵等で確認できる。おそらく中でも、好きな映画は性格を表す重要なパラメータではないか。しかし自分には服の好みのチョイスからキャラクターに込められた意思を読み解く知識がまるで足りない。
荒木氏は今回の作品のための取材で、グッチのイタリア人の職人たちに直接会い、すべての服に自分で目を通した。
「職人取材では、彼らがデザインをどうやって立体物にするのか興味深かったですね。全員がグッチの職人であることに誇りを持っていたのも印象的でした」
[中略]
「ただ今回の仕事を通じて、もっともこだわった点は、やはりどうやってグッチというブランドと荒木飛呂彦が描くマンガを融合させるかということでした。だから露伴とグッチのバッグ、その両方にキャラクターとしての意味がある……という不思議な物語になったんです。」
ジョジョリオンが気になるところでの休載だったので少し不満を感じていたけれど、綿密な取材の上で珍しい作品が出来上がったことが判り大いに満足。