『サマーウォーズ』感想

 遅ればせながら映画館へ。
 群像劇が大好きなので、個人的にはそれだけである程度は満足。予告編で惹かれた仮想空間のビジュアルも良い。舞台となる長野県は自分の田舎で、「夏休みにお婆ちゃんを軸として親戚に会う」という部分まで共通していたため、個人的な郷愁に訴える要素が多かった。
 観賞中の自分の心境が、冷めてるのか熱が入っているのかよく判らなかった。「このリズムだともうワンアクション入るな」「パンして彼をフレームインさせる、と」「このガジェットは伏線のはず」みたいなことを考えつつも、おそらく監督の意図とは外れたシーンで不意に泣いたり。引っかかる箇所もあったが、「この場は頭を空っぽにして楽しむよう努めた方が良い」という意識でまあ流せる範疇。
 『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』は参考のために観ておくべきなんだろうか。

 演出や作劇に関して疎いので、非常に興味深い記事だった。「リスクの分散のロジック」など、納得のいく解説がされている。


 執筆者の泉信行、記事中で脚本術についての議論が引用されている麻草郁、さらに森田真功(いずれも敬称略)による「若手漫画研究家が徹底鼎談 真正面から浦沢直樹!」(8月21日に発売された『浦沢直樹読本』に収録)も面白かった。自分はコマ割りなどの技法に捉われているため、マンガが絵であることとそれによるメリットの話に感心した。自分にはない視点から、得心のいく解釈を引き出される快感といったらない。